南北朝の名残を遺す『吉野葛』

吉野というと奈良県のどこか真ん中あたり?
うっそうとした山々があるところ、くらいしか僕にはなかったのですが、
『吉野葛』はそこが舞台。

日本の歴史の中では南北朝時代という、
朝廷が2分する珍しい時期があり、吉野はその南朝の拠点となりましたが、
南朝の衰退により南北朝は統一。
吉野は歴史の表舞台から姿を消します。

以降は昔ながらの風景が生き続け、
昔ながらの良き日本の姿が書き綴られています。

小説というより、エッセイでしょうか。
途中で古文が引用されたり手紙に書かれていたりで、
僕には読みづらい箇所もありました。
この頃に『盲目物語』『武州公秘話』を発表するなど、
歴史をベースにした作品を書き上げています。

秋の吉野を舞台に、母への想いを馳せる所は、
派手な内容ではないけど、いかにも日本的な作品でした。
『母を恋ふる記』は幻想的な世界、『吉野葛』は地味(いい意味で)な世界、
といったところでしょうか。

吉野へは行ったことないですが、
調べるとこんもりとした山が聳え立つところで、
海よりも山派の僕には好みの場所でした。