男女関係は面倒くさい『蓼食う虫』

『異端者の悲しみ』は、谷崎潤一郎自身の学生時代をベースにした短編。
こちらは離婚するまでの経験を元に書き上げた話のようです。

結婚は簡単だけど、離婚は大変。
という言葉を耳にするけど、谷崎作品にしては感情の抑揚が薄く、
途中で地唄や浄瑠璃のくだりもあって、珍しく味わえない作品に感じました。

『春琴抄』『痴人の愛』『卍』にあるような、
恋とも愛とも言えないような想いもなく、
かといって支配欲、女性崇拝といった著者らしい作品の箇所も少ないです。

ただどちらが離婚を切り出すか。
言う方になるか言われる方になるか、お互いがグダグダになる感じが続き、
ある意味離婚するときってこうなるのかなあと思うと、
改めて離婚の大変さを実感するわけでした。

主人公の要も妻の間男の存在を容認しているし、
セックスレスが原因と紹介文にはあるけど、
それだけではないような気もしました。

むしろ義父の妾であるお久に対して、
要はなんらかの感情があるような気がしてなりませんでした。
所々にお久に対する要の心理描写があるので、
ああこの二人は最後に・・・と思っていましたが、
なんにもありませんでした(笑)

夫婦に限らず恋人同士でも、別れる際はどちらかが切り出さないといけない。
言われる方も傷つくけど、言うほうもそれなりにしんどい。

いつの時代も男女関係は面倒なのでした。