吐き気が収まらない『インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実』

『殺人鬼フジコの衝動』の続編です。
前作で残った謎が解けたのは良いが、今回も吐き気がするほどの後味を味わいました。

今作は北九州監禁連続殺人事件を連想させる、凄惨な事件をおこした容疑者、下田健太が無罪判決を受け取るところから始まります。
しかも容疑者はフジコを育てた叔母の茂子の息子という時点で、
嫌な匂いがしました。
前作では少しだけ登場した小学生だったのに、こんな鬼畜になっていたとは・・・。

下田はとにかく人の心の隙間を突くのがうまい。
そしてその隙間に恐怖心をねじこみ、徹底的に服従させる。
物理的に監禁するのではなく、精神的に監禁するのである。

この男の成り立ちも描かれているけど、
人が一番恐ろしいのは人だということを、嫌というほど知らされました。

人の性格は、親の遺伝や家庭環境に左右される。
それだけではなく、大きくなっても周りによって形成されるのだ。

よく「自分は何々キャラで〜」と言うけど、
そのキャラは自分が作っているのではなく、周りの人に作られている。
それを周りも本人も気づいていない。
肩書きが人を変えると言うが、まさにその通り。

藤子も下田も好きで殺人鬼や鬼畜に成り下がったわけでなく、
人によってそうなってしまったように思えました。

所詮小説だけど、何かリアリティを感じるのは、
人が一番恐ろしいものは、人なんだと改めて感じさせるからかもしれません。

著者の真梨幸子の描く物語は、今回で2作目。
僕は読了後にしばらく残るしこりが嫌いだけど、
どうしても途中で読むのをやめられない名作です。
可能なら夜更かしして一気読みしたくなるほど、のめり込んでしまう。

僕は感情移入しやすいのでしょうか。
エグくて誰も救われない物語を最後まで読まずにいられないのは、
きっと人の闇の部分も覗きたい好奇心と、変な正義感のためかもしれません。