近代の思想史『スミス、ケインズからピケティまで 世界を読み解く経済思想の授業』

経済「思想」を通して、現代社会を知る本である。
なので経済学の本とは少し違う。

経済学の始まりはアダム・スミスの『国富論』からで、
市場経済は長期的には成長すると説いています。
しかしそれはもう一つの代表作である『道徳感情論』にあるように、
経営者や資産家たちが徳を持つ、つまり自分が儲かれば何やってもいいといった、
フェアプレーの精神が成り立ってこそ経済は成長するという意味です。

日本人にもこのような考えを持っていた知識人はいました。
渋沢栄一も「自分さえ利益があれば構わない、と言っていれば社会は不健全になる」と言います。

さらに時代を遡り、江戸時代の経済思想、石門心学の思想は勉強になります。
鈴木正三、石田梅岩といった思想家は、利益を追求する欲を抑え、消費者のために奉仕する教えを説きました。
この石門心学は全国の商人に広がりました。

世界だけでなく、国内でも共通の思想を持った人々が経済を成長させるには何をすべきか。
答えはとっくに出ているのです。
しかし現実はこのようになっていません。
やはり自分が儲かればいいという心を持つのが人間だから仕方ないのかもしれません。
そして世界経済が停滞している理由も、やはりここが理由なのかなと思いました。

フランスやドイツの資本主義も紹介されていましたが、このへんは僕には難しかったです。
やはり日本の資本主義が一番わかりやすかったですが、
ケインズの「アニマル・スピリット」、シュンペーターの「企業家精神」は、
現在でいうベンチャー企業といったところであり、
日本の市場は今なお「出る杭は打たれる」構造なので、
彼らの考えは今しばらく日本では花咲かないのかなあと思いました。