誰も報われることのない世界『殺人鬼フジコの衝動』

「イヤミス」という言葉がありまして。
なんでもイヤな気分になるミステリーのことを指すんだそうです。

Huluでドラマ化されていて、ちょっと気になっていたので原作を読んだのですが、
読了後のモヤモヤ感は、1月にして今年最高かもしれません。

小学生時代のフジコは、とんでもない親もとで育ち、貧乏なうえに学校でもイジメられる。

フジコは悪くない。貧乏が悪いんだ。

そんな気分でしたが、幼い頃に受けた悲惨な経験は想像を絶するもので、
母親のようになりたくないという強い思いが、大人になるにつれ徐々に曲がった方向へ捻られていく様は、悲劇というより気分が悪くなってしまいました。

不幸が不幸を呼ぶのが運命なのか、とにかく悲惨な毎日を暮らすフジコは、
身の回りの不幸だけでなく、人を殺すことになんとも思わなくなっていきます。

家族の惨殺事件をきっかけに、要所要所で場面が途切れたり、
現実なのか妄想なのか、一瞬わからなくなるシーンが、より不気味さを増します。
行間の取り方やシンプルだけど薄気味悪い描写が上手で、
気分が悪くなりつつも続きが気になってしまい、一気に読み終えました。

僕としては「イヤミス」を読みたいなら本書を是非お勧めしますが、
あんまりネットでの評判は良くないみたいです。
子供の虐待シーンが何かと多いからでしょうか。
登場する人物がどれも報われない人生を送っているからでしょうか。

ただ、親の愛情も受けず、貧乏で家にも学校にも居場所のない子供、
社会的に居場所のない女性は昔も今でも多いと思います。
このあたりは実際にありうる話なのが、読了後のモヤモヤ感を後押ししているのかもしれません。