やはりハードSFだった『シドニアの騎士』

好きな漫画家がデビューしてから作風が徐々に変わることがあります。
弐瓶勉の『BLAME!』『アバラ』『バイオメガ』では、独特のダークで重苦しい世界観に、
分かりづらい内容が魅力でした。
しかし『シドニアの騎士』では一気に今風の絵になってしまい、
おまけにロボットものでラブコメ要素も出てきて、ちょっと残念な気分でした。
人類の存亡をかけた戦いなのに、女の子が最前線に出過ぎだろと思いましたが、
まあ漫画ですし男だけだと恋愛も何も起きないですからね。

内容は、ガウナと呼ばれる生命体に地球を滅ぼされ、
残った人類が播種船「シドニア」で宇宙を旅し彼らと戦う、「王道なSF」です。

以前の作品とのあまりにも変わってしまったので、正直4巻ほどで一時期読むの辞めてしまいました。
仕事や私生活で、漫画を読むほどの余裕もない時期が重なったせいもありますが、
それが落ち着いたら、あ、そういえば続きどうなってたんだっけ、と思い出して、
7巻あたり出たころからまた買って、読み始めた次第です。

よく読むと設定はかなり精密に練りこまれており、
いらないと思ってたラブコメ日常も、いつガウナに滅ぼされるかわからない緊張感が背後にあり、
気づいたら著者の王道+独自ハードSFの世界に、どっぷり浸かってしまいました。

弐瓶勉作品は短編が多いので、この戦争にどう決着をつけるか気になる一方で、
もうちょっと彼らの日常を見たいという気持ちが残りましたが、
無事15巻でめでたく、本当にめでたく終わりました。

いままでの作品の中でも一番長編かと思います。
もっと読みたかったという若干の名残りを残すくらいが、ちょうどいい。
繰り返しゆっくりみたいので、10巻行くか行かないかくらいのボリュームが好きな僕としても嬉しい限りです。

一般ウケを目指したのか、作風はライトになって女の子キャラも多いですが、
ベースは重厚なハードSFで、昔からのファンも納得できる内容になっております。
(まさか重力子放射線射出装置が出るとは思わなかった。。。)
終わり方も作者独特の手法で、最後の1ページまで気の抜けない物語になっています。

次回はどんな漫画を描いてくれるんだろ。
シドニアのような内容もいいけど、昔のダークな世界観に戻って欲しいような、
ちょっと複雑な気分です。
いや、両方描いて欲しいです!

その間にアニメ化されましたが、こちらもよく原作を再現されてあり、面白いです。
さすがポリゴンピクチュアズ制作なだけあります。