まるで世の中の隙間を覗くような『居心地の悪い部屋 』

整然と建てられた街。
整然と生活する人々。

規則正しく過ごしている社会にも「隙間」がある。
それは人が表面上うまく生活しているけれど、
心の中の想いや苦悩、性癖、など様々な気持ちが渦巻いているから。

若きウェルテルの悩み』に続き、後味の悪い物語をまとめた短編集です。
ウェルテルのように悲劇的な最期を迎えて終わる話ではなく、
どの話もオチはなく、ただただ後味の悪い、恐怖とも悲しみとも怒りともとれない、
なんとも言いようのない感情だけを、心の奥に置いて終わってしまう。

そんな物語ばかりです。
著者のあとがきにあるように、いつも行かない駅に取り残された感じ。
または降りずに通過した駅をなんかの拍子で降りた感じ。

特に印象に残ったのは、
『ヘベはジャリを殺す』(ブライアン・エヴンソン)
『チャメトラ』(ルイス・アルベルト・ウレア)
『あざ』(アンナ・カヴァン)
『潜水夫』(ルイス・ロビンソン)
『やあ!やってるかい!』(ジョイス・キャロル・オーツ)
『ささやき』(レイ・ヴクサヴィッチ)

どれも数ページで終わってしまうけど、
短編でも印象に残る物語は多い。

外国文学に無知な僕にとって、どれも知らない作家ばかりだったので、
ここで記録していこう。

なんだろう、彼らはこの物語を通じて何か読者に訴えたかったのだろうか。
それとも後味の悪い話を書きたかっただけなのだろうか。
いや、そもそもそのような意図すらなかったのではないか。

よく行く街、よく散歩する近所。
その少し離れた所に急に置き去りにされた気持ちになります。