人は編集して生きている『はじめての編集』

「企画を立て、人を集め、モノをつくる」

簡単な言い方すると、編集者の仕事は以上の一言につきます。
僕はディレクションの仕事もするけど、まさに著者の菅付さんの言う事と見事合致する。

編集の基本は言葉、イメージ、デザインだと言う。
そういう意味でもディレクターと編集者の仕事内容はメディアの違いはあるけど、
本質的な部分は一緒なのかなと思います。

編集の歴史については、古代エジプトの壁画から本、新聞、雑誌、
そしてインターネットまで、移り変わるメディアを人類の歴史と共に、
編集者という立場から教えてくれます。
「とても駆け足で〜」と書いてありますが、これでも十分で納得いく編集の歴史を勉強できます。

能動的な企画と受動的な企画についても勉強になります。
作り手としては、どうしても能動的な企画こそが良いと思いがちです。
やはり自分で考えた企画が通って、それが世に出ることのほうがやりがいがあります。

しかし、能動的な企画でもグダグダな結果になることもあるし、
出版社側から依頼された企画を編集する仕事でも上手くいくケースもあるそうです。
謙虚な性格でもクリエイティブな仕事をする人間は、
どうしても「俺が考えた企画だ!」と気持ちが前に出てしまいがちで、
僕も気をつけるようにしていますが、
本書にある「企画は企画を感じさせないこと」という言葉に咎められた感じがしました。

編集の3要素である言葉(キャッチコピー)、イメージ(写真、イラスト)、デザインについて、
菅付さんの深い洞察力と知識を合わせて教えてくれます。
このへんは経験者でも入門者でも非常に勉強になる内容かと思います。

「人間は編集して生きている」と菅付さんは言いますが、
確かにその通りで、実はみんな毎日編集しています。
アナログ的なやり方では日記、メモする方法もありますが、
現在はtwitter、facebook、ブログ、LINEなど、
あふれるメディアを使ってプロでも素人でもみんな「編集」している。

一応僕もその中の一人であり、これからも編集し続けると思う。
誰が見ているかわからないけど、なぜこのような行為をしているんだろうと思った。
たぶん、自分はここにいるよ!と言いたいのだろう。
もしくは何かを遺したいのだろう。

無口な人も、おしゃべりな人も、きっと自分の想いを聞いて欲しい。
編集という仕事を通じて、人間の本質をつきつめることができました。

編集者として第一線で活躍する著者による、編集の教科書を超えた良本だと思います。