変化を求める村社会『京都企業の実力』

京都といえば華のある街で一度は住んでみたい所。
一方で閉鎖的で内向的なイメージもあったけど、どうやら誤解だったようです。

100年以上続く企業数は日本一で、紹介されている企業はどれも前代を超えるイノベーションを推し進めている。
その背景には県外からあらゆる技術や情報を取り入れる気質があり、地域や隣近所とも上手くやっていく力があります。

マネは許されず、「真似しい」と酷評され、かつ同業者の客を奪い合うのではなく、オリジナルを追求する。

他人に厳しく、自分にも厳しい。
これが企業として、人として京都で生きる姿です。

本書では京都を代表する村田製作所、堀場製作所、京セラといったグローバル企業から、料亭の瓢亭まで、様々な企業が老舗という看板を背負いながら新しいものを生み出していく姿を紹介しています。

老舗というと変化を嫌い、長年の伝統を守るイメージでしたが、後継者たちはどんどん変化させていきます。
特に瓢亭の長年受け継いできた出汁の製法をゼロから変えてしまったエピソードは面白かったです。

また本書とは少しずれるけど京都の芸妓、舞妓の裏側も読み応えがありました。
こちらも今の若い子(仕込みさん)をどう育成するか、昔ながらの育成方法だけでは途中で辞めてしまう子が多くなってきて、変化の時期が来ているそうです。

本書全体として「京都礼賛」といえるような内容なのがちょっと物足りなかった。
僕は大学が京都の近くだったので、京都にはよく行きましたが、京都には裏の部分もあります。
治安が悪いところ、かかわりたくない人が多いところなど。

人付き合いも一筋縄ではいかないようなので、京都でビジネスをするには、そのへんの裏事情
も教えて欲しかった。
たぶん京都なりの筋の通し方や、足の引っ張り合いみたいなこともあるかもしれない。
これは東京でもあるけど、京都なりの話の通し方があると思うのです。

また、株式会社はてな、1→10designなど、気鋭のベンチャー企業も紹介して欲しかったです。
あと若手のアーティストが京都に移住する話もよく出ますが、そのへんの話も欲しかった。
僕の欲張りかもしれませんが。
このへんは他の本で調べたいと思います。

華やかな表舞台、その裏の負の部分。
それもひっくるめて京都の魅力だと思います。

うん。また京都、行きたい。