データを哲学する『ビジュアル・コンプレキシティ』

デザイン・美術の歴史であり、情報・科学の歴史であり、哲学・思想の歴史でもある。
本書は古来から現在までの情報の可視化(ビジュアライゼーション)に挑戦した、様々な作品が紹介されています。
著者マニュエル・リマ氏の選ぶ作品群はどれも美しい作品で、見ていて飽きない。
とにかく膨大な量の文献からビジュアル面だけでなく、内にある思想も重視して選ぶ審美眼を持っている人です。

古来の思想、家系図からネットワーク、テロリストまで可視化されています。
人間が五感の中で一番大事なのは視覚であることが、よくわかります。
もちろん聴覚や味覚、触覚も大事だけど、とにかく「観る」ことを大事にする。

僕も自身のサイトで、宇宙のデータを可視化する研究をしていますが、意外と骨が折れる作業として、欲しい情報を探して精査するところにあります。

プログラミングの技術や知識に詳しい人だったら、自分の欲しいデータのみを抽出することは可能かもしれないけど、少なくとも僕にはそう簡単にできない。

だいたいこの作業で全体の半分以上をさいてしまい、一番面白いビジュアル面、どう見せるとより美しく、わかりやすくなるか考える所まで行く頃には、ガス欠してしまい、結局お蔵入りしてしまったものも少なくありません。

著者は作品群を通してかなり突っ込んだ考察を展開していて、もはや哲学書に近いです。
とても一度読んだきりでは理解できない。

また複雑系やカオス理論にも触れてあり、それらをベースにジェネラティブ・アートについても言及しています。

僕がテーマとしている宇宙というまだ未開の地で起こる現象をジェネラティブ・アートとして表現は、自分でもなかなか説明がしずらく、また理解されないので困っています。
技術面でも思想面でも行き詰ることが多く、頭がこんがらがってきたときは、この本を読むことで頭の中が整理できます。
なので、分厚く著者の言いたいことが理解できない所もあるけど、いつも自分の手に届く所にこの本を置いています。

僕のやっていることはリマ氏からみたら鼻で笑われるかもしれないけど、いつか本書に紹介されている作品に近づけるものを作りたいと思います。
自分にとってはバイブル(おおげさw)であり、目標地点であり、教科書でもあります。