どの経済思想も役にたつんだよ『経済古典は役に立つ』

経済学には大きく分けて古典派、ケインズ派とあるけど、結局はどっちの思想や経済政策がいーのよと思ってたけど、どうやらナンセンスな質問らしい。

今も経済の専門家たちの間ではこのような、あなたは〇〇派かとか、不毛なやりとりをしているようです。
アダム・スミスの「見えざる手」やケインズの大きな政府と市場介入、シュンペーターの資本主義崩壊など様々な分析や思想にはそれぞれ長所短所があるのに、自分は□□派だ、この人は〇〇派だ、と決めたがる傾向があるようです。

『アイの物語』に登場したAIのセリフに「ヒトはデジタル的である。0か1でしか物事を考えない。」とデジタルであるAIに指摘されるのもなんだか皮肉な話。
たしかに人は理屈で行動できない。
で、このような心理のもとで動くのが経済であり、それを分析するのが経済学です。

本書ではアダム・スミス、マルサス、リカード、マルクス、ケインズ、シュムペーター、ハイエク、フリードマンと著名な経済学者の思想を歴史とともにわかりやすく紹介されており、また彼らの生い立ちや現在の日本経済と合わせて説明してくれるので、僕としては非常に頭の整理に役に立ちました。

そもそも経済学の歴史が浅い理由は、近代まで宗教の思想が強く、利子をつけたり儲けたりする行為は時として裁判にかけられる時代があったためだそうです。
福沢諭吉も日本で初めて「授業料」を導入し、大バッシングを受けたそうです。

上記の経済学者たちも何かと不評を買うことも少なくなく、新しい思想を主張するにはどの世界にもバッシングに耐えるエネルギーが必要で、そういう意味では学者は思想家は格闘家だなと感じました。

シュンペーターの「不況必要悪説」は興味深く、効率の悪い企業は倒産し、イノベーション(創造的破壊、新結合)が経済発展の原動力となる所は、新陳代謝みたいなものですね。
また、イノベーションは消費者ではなく生産者から生まれるという思想は面白い。欲しいよりも作りたい、売りたい側が先にくるところは現在のビジネスに通ずる所です。
資本主義は必然的に崩壊し、全体として社会主義化すると予言していましたが、これはハズレました。今の所ですが。

ハイエクのケインズ批判。政府が大きくなることにより「集産主義」になり、ヒトラーやスターリンといった独裁者が現れると警鐘を鳴らします。
他にフリードマンもケインズを批判しています。
ケインズ経済学は意外と批判されているんですね。

それぞれの著名な経済思想をわかりやすく整理してくれたので、僕としては読んで正解でした。

なんとなく古典派経済学、ケインズ経済はわかってきたのですが、他の学者にフォーカスをあてた本も読みたくなりました。特にシュンペーターについて。