僕は本が嫌いだった その3

コピーライターの先輩から借りた本で一番印象に残っているのが『完全自殺マニュアル』である。
他にも借りたような気がするけど、とにかくこれが記憶に残っている。

内容はタイトル通り、自殺のマニュアル本である。
塩を丼一杯食べると死ぬとか、醤油を一升瓶飲んだら死ぬとか、市販の風邪薬を調合して楽に死ぬ薬を作るとか、飛び降り自殺する際の注意事項とか、実際に自殺をした人の事例とおすすめの自殺方法が書かれてあった。

筆者のおすすめは首吊りだった。(実際にそれぞれの自殺方法にオススメ度がつけられていた)
用意も手順も簡単だし、致死率も高く、なにより苦しまずに死ねるかららしい。
何かを訴えたい時は、焼身自殺がおすすめで、最低でも5リットルの灯油が必要だとのこと。
しかし、途中で助けられるケースがあり、死ねなかった時の後遺症は悲惨なものなので、よほど固い意志がないならやらないほうが良いなど。

たしか僕が中学生あたりにこの本がちょっとした話題になり、実際にこの本を読んで自殺した人が続出して社会問題になった記憶がある。

しかし著者の言いたいことはあとがきにあった。
よく自殺するなら死ぬ気でがんばれとか、生きていればいつか良いことがあるとか、無責任な励ましが世の中にはびこっている。
本当に苦しかったら死を選んでもいいんだと、息苦しい社会に風穴を開けたかったと語っていた所が今も覚えている。

実際に自殺した人の事例を読むと、本人は悪くないのに目も当てられないような劣悪な環境で生活している人が何人かいた。
親から暴力だけでなく、性的暴行もくらい、助けを求めても誰も助けてくれないケースなど、本当にひどかった。

そのような人たちに投げかける無責任な励ましは、確かに彼らを苦しめるだけだ。
がんばれ!とはある意味暴力的な言葉だと、つくづく感じたのを覚えている。

10年くらい前に読んだ本だけど、今でもこれくらいの内容は覚えている。
別に当時の僕に自殺願望があったわけではないけど、高く評価されないサブカル的な本でも、これだけの内容が詰まっている。

このあたりから、徐々に本に興味を持ち始めた。