文明の発展の先には幸福が待っているのか『遺跡の声』

高度な文明を築いた生命体の歴史は短いのか、未来永劫繁栄が続くのか、長いこと議論されている。
本書では人類が後者の道を進み、銀河系の果てまで進出しています。
主人公の「私」は銀河系の辺境で宇宙へ進出できずに滅んだ生命体の遺跡の調査員。
調査も基本自動的に機械が仕事しているので、人と会うこともほとんどない。
ひとりで銀河系の端を旅するように探査する仕事なので、ぼっちが好きな人には最適な職場です。
会話する相手は、自分の補助脳であり相棒である結晶体の生命体、トリニティ。

主人公とトリニティは、様々な遺跡を調査しながら宇宙を旅します。

一度は繁栄した文明が滅んだ姿は、なかなか郷愁を感じます。
文明が滅びるケースとしてよくあるのが、種族間の戦争だけど、本書に登場する遺跡はどれも僕の予想を裏切る。
地下深く惑星の核をエネルギーにして生きる生物たち、惑星そのものがひとつの生命体、快楽に溺れ自身を見失ってしまった種族など、想像を超える星と遺跡に主人公は会います。

ひとりぼっちの宇宙探検みたいでロマンを感じる一方、孤独とやるせなさを感じました。
主人公には元々婚約者がいて、事故で亡くしてしまい、それ以来ぼっちが好きな人みたいだけど、周辺数百光年に誰一人としていない感覚はどのような気分だろうか。

また人類は、銀河系の中心に近い系で栄えた文明に注目し、銀河系の辺境の文明はあまり注目されていない。
つまり主人公の仕事は遺跡調査の中でも地味な仕事として扱われている。
しかしどこの遺跡にも繁栄して滅びるまでの物語があり、そこが何故か虚しさを感じさせるのかもしれない。
注目されもしない調査報告や観測データをただ一人、いや相棒トリニティと本部へ送る仕事を続けます。

僕らの住む太陽系も銀河系の辺境。
人類は宇宙へ進出するのではなく、滅び去る運命にあることを著者は暗に伝えている気がしました。