DQN哲学者の講義録『青色本』

若きウィトゲンシュタインは『論理哲学論考』で哲学に終止符をうちました。
しかし後の「中期」「後期」と言われる彼の人生で、哲学はまだ終わっていないことに気づき、再び大学に戻ったのであります。

内容は「語の意味とは何か・・・」から始まり、『論考』のように箇条書きではなく、読者に問いかけるような文章になっています。

別の本で読みましたが、彼の講義は一風変わっており、ダダーっと黒板に書いては一人でしばらく考え込んだり、自分と考えが違う学生に対してはキレまくって論破するなど、とんでもない講義だったそうです。
それでも学生間では人気のある講義だったそうで、後に言語ゲームという概念が導入されている点では、当時の哲学の最前線を走っていた内容だったのかなと思います。

しかし冒頭の「語の意味を説明するとはどのようなことか」から始まるこの本は、僕にとって『論考』以上に難しいものでした。
講義録ということなので170ページほどの分量でも目次が一切ないと、途中で頭の整理ができない。

特に前半は難しく、ちょっと何言っているかわからなかったです。
後半の独我論についてはなんとなくわかりました。
自分以外の人間は単なる現象に過ぎず、自分の経験だけが確からしい唯一の経験であり、他人の経験は、不正確である。そこには彼の体験する「本物の」手触り、「本物の」痛み、「本物の」生はない。
例えば僕が虫歯になって「僕は歯が痛い」と言っても、虫歯を経験したことのある他人には自分の「歯が痛い」という経験は理解できない、といったところでしょうか。

一部の学者で指摘されている「ウィトゲンシュタインはアスペルガー症候群だった説」というものがあるけど、彼の人生や性格をみてみると本当かは別として少し納得してしまいました。

付録としてウィトゲンシュタインを研究している野矢茂樹さんの解説がわかりやすかったから、そちらを中心に読んで解釈しました。
この方の解説は非常に分かりやすく『論考』でも解説があったので、助かりました。