人は理屈で動かない『行動経済学』

人は感情で動く。
人は記憶によって生きる。
その不確定要素の中で生きる人間の行動を研究するのが行動経済学です。
近年新しくできた分野で、経済学というくくりより心理学、脳科学、社会学などをクロスオーバーしている学問のように見えました。

「記録より記憶」とあるように、人は経験則で物事を考えてしまう。
リンダ問題など、ヒューリスティクスの話は面白かった。

飛行機の事故が怖いのに、車を使ってしまう。
祖父はヘビースモーカーだったけど、長生きしたからタバコはさほど害ではない。
などなど。

「時間による選択」も面白い。
今日1万円もらうか、来年1万1000円もらうか、どちらか選ぶとしたら、ほとんどの人は後者を選ぶ。
僕も当然後者を選んでしまった。
また「パスカルの賭け」のように、「不確実性の中の選択」にも面白い。
このように時間や不確実な事柄がからむと人の判断はどのように変化するか、様々な研究がされています。

著者はジョージ・シャックルという無名の経済学者を高く評価しています。
学生時代から苦学生で、日の目を見ることはなかったにもかかわらず、かなり先見の明のある学者だったそうです。
詳しくは知りませんが、不確実性についてかなり前から予言していた人物だそうで、この時点で、あーこの人応援したくなるわと思いました。

また、アディクションについての説明もわかりやすく、いかに人がいい加減な判断をしているかよくわかりました。
ギャンブル、酒、タバコなど、不健康だとわかっていても人が手を出してしまう行動と経済の関わりについても詳しく述べられています。
特にタバコを題材として、値段の上げ方、アディクションによる脳の刺激、中毒者と判別する境界線など興味深かったです。
全体的に喫煙がいかに健康面でも経済面でも有害なのか徹底的に調べ上げており、筆者はどんだけタバコが嫌いなんだろうと思いました。(笑)
おそらく特定の嗜好品に絞った説明のほうがわかりやすいからだと思いますが。

行動経済学の入り口を教えてくれる良い入門書だと思う。
経済オンチの僕でもある程度は理解できたし、楽しく読めた。
しかし最近の学問だからといって、新書一冊ですべて網羅するのは無理がある。
ここまで案内したから、ここから先は興味あったら各自で調べてねということでしょう。

ちなみに先ほどのシャックルはwikipediaに載っていましたが、えらい説明が少なすぎて泣けました。