宇宙と人類の歴史がわかる『宇宙論のすべて』

先日読んだ『宇宙論入門』は現在の宇宙論の初歩を教えてくれ、本書は宇宙論や物理学だけでなく、宇宙論の歴史、歴代の天文学者や物理学者も幅広く紹介されています。

古典物理や相対性理論、素粒子物理学、量子力学、統一理論など分りやすく説明されています。
基本的に数式など使わず平易な文章で各章を教えてくれていますが、学生時代に苦手だった素粒子は相変わらずわかったようなわからないような、もやもや感が残りました。
大学の講義でも教科書の出だしでつまずいて、以後さっぱりだったのを思い出しました。
1ページめからわからなかったら、どうすればいいのかと・・・。

特筆すべきは宇宙論の歴史とこの学問に身を捧げた人々の紹介です。

中世にかけ、天体望遠鏡が発明され、次々と宇宙について分かってきましたが、ガリレオやコペルニクスなど科学と宗教のはざまに苦脳する学者もいます。
地動説は古代からあったけど宗教上受け入れられなかったのですが、中世にかけ地動説が理論的にも観測的にもゆるぎない地位を確立する流れも見る事ができました。

フォン・ブラウンがロケットを開発したことは有名ですが、実は古くは中国の宋時代に最初に発明されましたが、大砲など他の兵器の方が重要視され、あまり歴史の表舞台には表れなかったそうです。
注目されたのは東インド会社がロケットで攻撃されて、改めて兵器や宇宙開発に利用されました。

また、江戸時代の天文学も紹介されています。
暦の計算など、実用的な研究がほとんどで、宇宙とは何か、自然界の研究は独自でなされていなかったのは残念なところです。
ここにきてなんと伊能忠敬も登場します。天文学を研究するために弟子入りしたそうですが、この時はもういい歳のおじさんでした。
好奇心旺盛で情熱がある人だからこそ、精密な日本地図を作成できたのですね。

アリストテレス、アルキメデスなど古代ギリシャの学者やインド、イスラム圏、中国の天文学も興味深く、それぞれの偉大な学者たちが思い描いていた宇宙像を見比べることができました。

宇宙や物理を紹介するだけでなく、現在までに確立された宇宙論の背景で活躍した人物や、変化する思想がわかるので、この学問に対する厚みをより一層実感できました。