「そうだ 京都、行こう。」となる『古都』

物語よりも舞台背景である京都の四季を感じる本。
京都の呉服屋の娘、千重子。北山杉の村で働く娘、苗子。
二人は生き別れた双子だった。祇園祭で知り合い、お互いにひかれあい、懐かしみあう二人。
少しの恋愛模様、家族愛、そして姉妹の心情が京都の四季とうまくからみ、とても情緒あふれる物語になっています。
川端作品は自分には合わないと思っていましたが、これは違った。

千重子と苗子が話す京都弁が美しというか可愛い。
これが最近流行りの方言女子(笑)というやつか!
別に方言を話す女の子が可愛いとか惹かれるとか、そういう趣向は僕にはないのですが、京都弁は別。
くやしいけど、見事に「方言補正」され、ほのぼのした気分になります。

川端康成は睡眠薬を飲みながらこの作品を執筆したそうで、話の筋が所々おかしいところがありますが、とにかく情緒ある背景がすばらしい。
「うつつなありさまで書いた」らしく、それが京都の幻想的な風景描写を加速させているような感じがします。
京都は季節に合わせて他の地方より祭りや行事ごとが多く、それらも名所とともに登場するので文章で魅せるガイドブックのようでもあります。

執筆時と現在の京都の街並みはまた違うと思いますが、今の京都もすばらしい。
近代化された京都駅から鴨川、嵐山、祇園など、どこを切り取っても良い。
観光客が減ればもっと良いのですが、これは皆が思ってることでしょうし、仕方ない。

学生時代は関西で過ごしたので、京都にもよく行ったので、懐かしく感じました。
この歳になるとどうしても過去を美化してしまうのですが、友人と遊びに行ったところ、昔の彼女とデートした所など、甘酸っぱい思い出からほろ苦い思い出が京都には詰まっていて、また訪れたい気分になりました。

いかんいかん、自分まで夢うつつな気分になってしまう。
またいつか、時間を忘れて鴨川付近を散策したいです。