ただのSFでは終わらせない『攻殻機動隊』

「ネットは広大だわ・・・」

出版された1990年代前半に、この言葉を理解できてた人はどれくらいいただろうか。
押井守監督の劇場版から始まり、今では攻殻機動隊設立前の話がアニメ化されるまでなったこのシリーズですが、サイバーパンク好きにはたまらない一冊になっています。
各ページに注釈がギッシリ詰め込んであり「作者も一回目はマンガを読んで、二回目は注釈も含めて読んで欲しい」と言うほど。それくらい事細かく設定してあります。

ギャグ要素も少しありますが、シリアスなシーンはとことんシリアスに。何気ないセリフにも色々と考えさせられる所があります。

マンガでは2巻、1.5巻もありますが、2巻は素子がポセイドン・インダストリアル社に所属しており、何人かのゴーストと融合した後の話、1.5巻は素子失踪後の公安9課の話なので、映画化、アニメ化した攻殻機動隊の原作は1巻のみと考えて良いかと思います。

マンガや昔の劇場版では全身義体の素子が、自分は脳みそ以外は全て政府の所有物であり、ここまで科学が発展した今、どこまでが自分なのか葛藤する場面が散見されています。
そこで自分は生命体だと名乗る「人形使い」にどこか惹かれていく(?)所、「人形使い」とのやりとりは内容は難しいですが、何度も繰り返して読み込めるので、ただのSFという括りにするのはもったないと思います。

科学が発展すればする程、生命とは、自分とは何かについて改めて哲学の原点に帰着せざるを得なくなる。そんな濃い内容です。